人はどんなときにがんばるか

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先日、ある社長さんと仕事の打ち合わせをしたときに、こんな悩みを打ち明けられました。

「人にすすめられてスローガンを作り、朝礼を実施しているんだけど、ちっとも社員がやる気をだしてくれない。どうしたら社員のモチベーションを高めることができるのだろうか」

 

話を聴いていて、私が気になったことは、人間の本質への理解についてでした。

 

私は経済学部出身なので、アダムスミスの「国富論」を勉強したことがあります。人間の本質とモチベーション、成果について、「国富論」がとても参考になるので、少し述べてみたいと思います。

 

その中に「神の見えざる手」という言葉が出てくるのですが、これは「個人が利益を追求することは一見、社会に対しては何の利益ももたらさないように見えるが、各個人が利益を追求することによって、社会全体の利益となる」という意味です。

 

例えば、投資家は自分の資産運用のために投資活動をしますが、結果として、企業や経済を支える役割を果たしています。人間の欲望や見栄も、結果として社会の雇用を増やし、納税によって国庫をうるおしています。

 

「自分と家族以外の他者のために、最大限の労働をする」人も世の中には確かに存在します。しかし、千人に一人ぐらい、人口比率でいうと、0.1%ぐらいしか存在しません。

 

残りの99.9%は「自分と家族のためなら、最大限の労働する」人と言ってよいと思います。

 

したがって、スローガンや朝礼で「世の中や会社のために働くこと」を説教しても、労働者が動機づけられることはありません。場合によっては、モチベーションや生産性を大きく下げる要因にもなります。

 

では、どうすれば、労働者のモチベーションを高めることができるでしょうか。

 

その答えの一つは、経営計画にあると思います。

 

社員に対して、経営計画の発表会を開催する会社が最近は増え始めましたが、会社のビジョンや目標、事業について説明するだけで終わっているケースがほとんどです。それだけでは、社員のやる気に火をともすことはできません。

 

経営計画発表会では、社員の処遇について説明することも不可欠です。

「〇年後には、同地区のモデル賃金の10%高を目標とする」

「〇年後には、休日数を〇日に増やし、年間の労働時間は〇時間を目標とする」

「それらの処遇を行うためには、ビジョンや売上目標、利益目標を達成することが不可欠であること」

 

このように、社員の欲求と会社のビジョン・目標を結びつけることで、協力を引き出すことが肝心です。そして、自分の人生と会社の将来に希望を持たせることです。

 

顧客サービスを高めたいのであれば、クレームが減ったり、顧客から感謝されれば、どれだけうれしいかを社員に教えることから始めるとよいでしょう。

 

「自分と家族のために社員が一生懸命働く」

私はこれで十分なのではないかと思います。そういった社員のエネルギーを会社の目標のレールにのせてあげることで、会社の業績は向上していくのではないでしょうか。