人事のプロが知らない本当の人事評価制度の作り方

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最近、顧問先などから人事評価制度に関するアドバイスを求められることが増えています。やはりどの社長さんも、「今の給与の決め方でよいのか?」という迷いをもっておられるのかもしれません。

 

 

 

これまで人事評価制度に関するいろんなセミナーを受講したり、書籍を読んだりしましたが、一番納得する答えを与えてくれたのが、一倉定氏の方法です。

 

一倉式の人事評価制度について、以下にまとめてみました。

 

ある高い業績を上げている会社の社長が言うには、

「うちでも、かつて合理的な賃金を目指して人事評価制度を導入したことがあった。ところが、人事評価制度による評価法をそのまま昇給にあてはめると、とんでもないことになって、とてもそのままで使えるものではない。仕方がないので、社員の氏名と現在の給料、学歴、年齢、勤続年数などを記入した一覧表を作り、『勘』できめてゆくようにしている。これが一番問題のないやり方だ」と。

 

この社長の言葉は、従来の人事評価制度の欠陥を最もわかりやすく表現しています。人事評価制度の評価項目を見ると、積極性・熱意・仕事に対する理解・協調性・計画性・統率力・責任感というようなものがその対象になっています。

 

これらのものは、明らかに貢献度でも業績でもありません。本人の資質や潜在能力あるいは人物のことです。それらのものが優れていれば、よい業績を上げられる可能性は大きいですが、それは業績に対する期待であって、貢献度評価でも実績の測定でもありません。

 

また、評価法そのものが全くおかしなものです。それらの評価項目の一つ一つは、一律に十点とか五点とかの点数が与えられていて、これを合計した点数によって評価しようとしています。

 

なぜ、積極性と計画性と協調性が、同じ十点になるのかという根拠が全く分かりません。これを考案した人は、この点についてあまり考えてもいなかったに違いありません。

 

その上、その点数たるや、評価する人の能力や性格、偏見、感情などによって、大小さまざまな不公平や誤りが織り込まれます。こんな不合理な評価をされ、昇給に差をつけられたのではたまったものではありません。

 

現実には、その不合理や不公平は、上司の調整で、ある程度は緩和(または拡大)されることになります。しかし、その上司の調整も『勘』なのです。これが、現在行われている人事評価と称するものの実態です。

 

では、昇給に対する正しい評価法はあるのか、ということですが、これは残念ながらないのです。しかし、正しい評価法がないからといって、誰も一律に昇給というわけにもいきません。明らかに会社に対する貢献度が違うからです。

 

正しい人事評価ができないかぎり、これは「勘」でする以外に方法はないのです。しかし「勘に頼っている」のでは、社員は納得してくれません。現実には、何らかの方法で、勘よりも良い評価をしなければならないからです。

 

貢献度の正しい評価はできないとしても、「会社に貢献すると思われる態度や行動とは、具体的にどんなことか」ということを考えて、あくまでも具体的な評価項目を定めることが大切です。

 

この評価に、社長自身の物差しによる本人の実績を合成して、貢献度の評価点を出すのです。評価点といっても、もともと数量化できないものを数量化するのですから、ムリもあれば不合理もあります。

 

会社は、社長の意図を実現するための指導が不可欠です。したがって、評価も社長の意図を実現するための考え方や行動に焦点を合わせる必要があります。評価項目は社長自ら筆をとって書くべきなのです。

 

大切なのは、入社後3年間は昇給に差をつけないことです。3年間はじっくりと見て、4年目にはっきりと差をつけるのです。こうすると、優秀な社員は納得し、差をつけられた社員はあきらめます。これを不満としてやめてゆく社員があるかもしれませんが、これはいたしかたないことです。そして、それを入社時によく話して聞かせておくわけです。

 

では、具体的な評価項目の例と点数のウェートづけ、運用方法についてですが、記事が少し長くなりましたので、今日はこの辺で。