8月に各都道府県の地方最低賃金審議会において2022年度改定地域別最低賃金の引き上げ額が決定されました。福井県は888円です。
最低賃金の改定は労働者の生活の安定を目的としていますが、一種の平等主義の考えも根底にあると思われます。
平等というと、下にいる人たちを上にいる人たちの水準まで引き上げる、というイメージを持っている人も多いと思います。しかし、平等には、上にいる人たちを下にいる人たちの水準まで引きずり下ろす、というのもあります。社会主義者や共産主義者が唱えている平等は、この後者に該当するケースがほとんどです。
最低賃金の上昇という一面だけを見ると、労働者の給与が上がるのだと、一見思ってしまいます。しかし、企業が人件費に向けることができる資金には限りがあるため、最低賃金を上昇させる分の原資はどこから持ってくるかも見過ごしてはならないと思います。
正社員の将来の昇給分やボーナス、退職金を減額して、その原資にあてる会社もあれば、将来に必要な設備投資をあきらめて、その原資にあてる会社もあるでしょう。また、パートの労働時間数を短縮したり、余剰人員を減らすことで対応する会社もあると思われます。
さらには、扶養の範囲で働いているパートは、年間130万円未満に収入をおさえるために、会社に労働日を減らすよう申し出たりします。
平等が行き過ぎると、社会は余計におかしなことになることは、カンボジアのポルポト政権や旧ソ連などを見ればわかると思います。
企業もこれと同じです。努力した社員、成果を上げた社員には厚く処遇し、そうではない社員には薄く処遇をする。これができれば、公平な処遇と言えるでしょう。
平等よりも公平を大事にする。
事業を行うときに、この考えを意識してみてはいかがでしょうか。
※最低賃金は、法律で決まっていることなので、きちんと守りましょう。