アベノミクスがスタートしてから、生産性を向上させた企業を優遇する施策が多く行われています。そのため、ここ数年、顧問先の巡回時に「どうやったら会社の生産性が上がるか」が話題となることが増えてきました。
まず会社の生産性を上げるために手っ取り早い方法として「会議の改善」があります。
会議の改善で最も重要なのは、無駄な会議をなくす、ということです。
「小田原評定」という故事があるとおり、無駄な会議が日本では古くから行われてきました。現在もさほど変わりません。「会議の理由、目的は何か」を明確にして、「会議を開くまでのことではない」「もっと短い時間でできる」と判断できるのであれば、そのような選択をすることがベストです。
会議に参加するメンバーの所要時間の人件費を一度算出してみてください。15人が参加をして、所要時間が2時間、1時間当たりの賃金の平均が1万円だとしたら、それだけで30万円になります。
2番目に大切なのは、参加者の人数をしぼることです。
参加者が多ければ多いほど、会議の生産性は低下します。アメリカに「ピザ2枚ルール」というのがあり、参加者を2枚のピザで満腹になる人数まで抑えるのが効果的と言われています。多くて5~6人ということでしょう。
3番目に大切なのは「ブレインストーミングはやらない」ということです。
ブレインストーミングとは、
判断・結論を出さない
ユニークなアイデアを歓迎する
質より量を重視する
アイデアを結合させる
というルールを決めて、新しいアイデアを生み出すことを目的とした会議手法のことです。1950年代に考案されて以来、世界中で行われるようになり、日本でも実施している企業が少なくありません。
実は、心理学者のエドアルド・サラス博士などが行った多くの実験結果により、ブレインストーミングは創造性や効率の点で全く役に立たないということが明らかになっています。
その理由は
社員である以上、組織の上下関係を無視して発言できない
大勢の前で意見を言うのに抵抗がある
発言力がある人や上司のアイデアが褒められやすい傾向がある
他の人がやってくれるだろうと自然にやらない人が出てくる
などのためです。
では、会議で新しいアイデアを出すにはどうしたらいいでしょうか。
それには、ブレインライティングという方法が効果的です。やり方は以下のとおり。
1 解決したい問題を決める
2 その問題に対するアイデアを、各自が10分程度かけて紙の上半分に書く
3 書いた紙を隣の人に渡し、自分もとなりの人から紙をもらう
4 渡された紙の下半分に上半分のアイデアの工夫点や評価、疑問などを書く。これを人数分繰り返す。
5 最後にすべての紙を集めて検討する。紙に書かれたアイデアが誰のものかは明かさない。
この方法であれば、組織の上下関係を気にすることはなくなりますし、大勢の前で意見を言う抵抗感もありません。
アメリカの大学の実験で高い効果が証明されていますので、ぜひチャレンジしてみてください。