社員にはどのような労務知識が必要か

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先日、クライアントから、「社員に対して、労務に関する教育を行いたいのですが、どういったことを教えたらいいですか?」と相談がありました。

社員に対して、教えるべき労務知識の一つ目は、セクハラ・パワハラなどのハラスメントの知識です。会社がハラスメントの教育等を怠っていた場合、安全配慮義務違反に問われて、損害賠償責任を問われる可能性があるからです。

二つ目は、残業に関する知識です。2019年4月(中小企業は2020年4月)から時間外労働の上限規制の法改正が行われたことにより、一定以上の残業を社員にさせることができなくなりました。これに違反をした場合は、書類送検される場合があります。最近ニュースで、上限規制の違反で書類送検された会社がしばしば取り上げられています。

三つ目は、年次有給休暇に関する知識です。2019年4月から、働き方改革法の成立により、会社は、年間に年次有給休暇が10日以上付与される社員に対して年5日の年次有給休暇を取得させる義務が発生しました。これに違反をした場合、社員一人につき、30万円以下の罰金が科される場合があります。社員20人に取得をさせていなければ、30万円×20人で600万円になります。

四つ目は、育児介護休業法に関する知識です。一昔前は、寿退社が普通だったと思いますが、現在では、出産や育児をしても、社会保険料は会社負担分・本人負担分の両方が免除される仕組みがあり、給付金などで国が支援しているため、会社を辞めずに出産や育児を行える制度が整っています。

また、介護休業についても、給付金などで国が支援しているため、社員が会社を辞めずに介護を行うこともしやすくなっています。せっかくの良い人材を家庭の事情で辞めさせるのはもったいないと思います。

五つ目は就業規則に関する知識です。就業規則は、会社の憲法のようなものですから、難しい部分や誤解しやすい部分は解説を入れておくとよいと思います。

六つ目は、社会保険についてです。厚生年金保険料や健康保険料の半額を会社が負担していることを知らない社員は結構いますし、社員の将来設計にもつながることだと思います。

七つ目は、安全衛生法についてです。労災事故を減らし、職場の安全を実現する上で、必要だと思います。

ご参考まで。