有給休暇は申請を拒否することはできませんが、取得する時季を変更することは認められています。ただし、いつでも時季を変更できるわけではなくて、「事業の正常な運営を妨げる場合」だけです。
そのように顧問先にお伝えすると、「じゃあ、事業の正常な運営を妨げる場合ってどんな場合なの?」という質問がしばしば返ってきます。
「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、具体的には、次のとおりです。
1.有給休暇を取得する人以外の社員では、行うことができない重要な業務をしなければならないとき。
2.有給休暇取得者がその日にたくさんいて、代替要員の確保ができないとき。
3.その日に研修の実施がある、または出張業務があるとき
4.シフト制の会社の場合で、シフト変更を調整してみたが代替要員の確保ができないとき。
5.「その日にイベントセールがある」など、特にその日に行わなければならない業務があるとき。
上記のような事情がなく、単に業務が忙しいという理由だけでは、有給休暇の変更は認められないことになっています。
上記1~5の事情がある場合は、強制的に変更が可能ですが、実務上は強制的に変更するよりも、話し合いによって変更する方がよいと思われます。