出産や育児に関する給付金の注意点

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一定の要件を満たすと、雇用保険や健康保険からさまざまな給付金が労働者に対して支給されますが、出産や育児に関する給付金について、今回は述べてみたいと思います。

 

育児休業給付は、育児休業終了後の職場復帰を前提とした給付金のため、最初から退職を予定している場合は、育児休業給付の支給対象となりません。

 

受給要件として、育児休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月以上あることが必要です。この場合、育児休業開始日の前日から1か月ごとに区切った期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日ある月を1か月とカウントします。

 

一方、出産手当金は、出産日以前42日から出産日の翌日以降56日までの期間で会社を休んだ期間が対象です。育児休業給付と違って、2年間に被保険者期間が12か月以上といった要件はなく、

 

①健康保険の被保険者であること

②妊娠4か月以上の出産であること

③出産のため仕事を休み、給与の支払いがないか支払額が出産手当金より少ないこと

 

の三つを満たせば、支給の対象となります。

 

では、出産や育児の途中で、関連会社などに転籍出向するケースの場合はどうなるでしょうか。

 

育児休業給付については、一日の空白期間もなく、関連会社などに転籍出向する場合、上記の受給要件を満たしているのであれば、支給の対象となります。

 

出産手当金については、被保険者期間の要件はないわけですから、上記の要件を満たしていれば、転籍出向しても支給の対象となります。

 

ちなみに、育児休業給付は、一定の要件を満たすと、2歳まで延長が可能となります。最近は、1歳6か月や2歳までの延長が少しずつ増えてきているので、これについても注意をしておきたいところです。

定年再雇用のときの同日得喪の仕組みとは

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先日、定年再雇用のときの同日得喪の手続を行ってきたのですが、同日得喪の制度について知らない方も結構いるかもしれませんので、少し述べてみたいと思います。

 

社会保険の標準報酬月額は、取得時に決定したあとは、定時決定や随時改定によって、変更されます。随時改定については、固定的賃金が一定以上の変動があってから3か月後のタイミングとなりますが、定年の翌日に再雇用される場合は、再雇用された月から再雇用後の給料の標準報酬月額に変更となります。これを同日得喪といいます。

 

同日得喪の対象者は正社員だけでなく、厚生年金保険等の被保険者であれば、アルバイトも対象となります。

 

また、定年のときだけではなく、定年後の有期労働契約を更新するときにも対象となりますし、役員も利用可能です。

さらに、70歳になると健康保険のみの加入となりますが、健康保険のみで同日得喪を行うこともできます。

 

手続きとしては厚生年金保険等の被保険者資格喪失届及び被保険者資格取得届を事業主の証明等の添付書類と一緒に事務センターに提出します。

 

定年後に給与を見直す会社様は少なくありませんが、タイミングによっては、同日得喪を利用できることになります。60歳以上の在職老齢年金は、標準報酬月額と標準賞与額をもとに算出する総報酬月額相当額がかかわってきますので、在職老齢年金も考慮に入れながら、同日得喪も利用して、会社の負担を軽くしていきたいものです。

時間単位有給休暇で注意することって何?

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今年の4月以降に、新規の顧問契約を4社結ばせていただいたのですが、そのうち1社から「時間単位有給休暇の導入を考えたい」とのご相談がありました。

 

「管理が大変になりますけど、大丈夫ですか?」と私は伝えたのですが、「大丈夫です。」とのことでしたので、時間単位年休の導入に関するお手伝いをさせていただきました。

 

時間単位有給休暇の注意点を以下にまとめてみたいと思います。

 

まず基本的なことですが、労使協定の締結が必要ということです。労使協定で定める内容は以下のとおり。

 

①対象労働者の範囲

②時間単位有給休暇の日数

③時間単位有給休暇1日の時間数

④1時間以外の時間を単位とする場合の時間数

 

また、労使協定と同様の内容が就業規則に規定されていることが必要です。時間単位年休の導入をしている企業様の中には、就業規則への規定を忘れているケースが意外と多いと思います。

 

さらに、毎年、時間単位で取得できる有給休暇は5日以内と定められていることも注意が必要です。では、前年度からの繰越分がある場合はどうしたらいいでしょうか。

 

時間単位有給休暇の上限は、前年度の繰越分も含めて5日以内に限られています。前年度の繰越が8日分あった場合、8日+5日で13日分が時間単位有給休暇として取得できるわけではありませんので、注意が必要です。

 

そして、「1日の取得時間数の制限を設けること」や「所定労働時間の途中に取得できないようにすること」、「取得できない時間帯を設けること」もできないことになっています。

 

時間単位有給休暇は、通常の年次有給休暇よりも注意すべき点が多いため、社内で時間単位有給休暇制度の運用ルールをきちんと伝えておくことが大切となります。

同一労働同一賃金のこと

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同一労働同一賃金については他の書籍・資料で確認済でしたが、念のため、水町勇一郎氏の著書も読了しました。

 

水町勇一郎氏は東大教授で、働き方改革実現会議の構成員をされている方です。

 

同一労働同一賃金は、ドイツやフランスですでに行われている取組ですが、日本では、大企業が2020年4月~、中小企業が2021年4月~施行となります。

 

ドイツやフランスでは、「均等」待遇のみが対象ですが、日本では、「均等」待遇だけでなく、「均衡」待遇の確保も対象となります。つまり、日本の方がドイツやフランスよりも厳しい内容となっています。

 

「均等」待遇とは前提が同じ場合に同じ待遇を求めること、「均衡」とは前提が異なる場合に前提の違いに応じたバランスのとれた待遇を求めることです。

 

同一労働同一賃金は、「有給休暇義務化」や「残業時間上限規制」と比べて、より高度な内容となっているため、はたして企業総務の現場レベルで対応していけるのだろうかと、ふと思いました。

 

とはいえ、施行される以上は対応することが求められますから、社労士事務所として精一杯、支援をしていこうと思う今日この頃です。

大企業と中小企業の基準はどう判断するの?

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