資本集約型産業と労働集約型産業の違い

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11月までとても忙しくて、ゆっくりする時間がなかったのですが、先日久しぶりに時間が取れたので、午前中は読書を少ししました。読んだのがこちらの本。

 

「『先見力』の授業~AI時代を勝ち抜く頭の使い方」(掛谷英紀著)

 

興味深かったのは、「危ない企業の見抜き方」について、書かれていた点でしょうか。

危ない企業の例として、NOVA、コムスン、アディーレがあげられていました。

 

まず、企業を考える上で大切なのは、資本集約型産業と労働集約型産業のどちらに当てはまるかとのことです。

 

資本集約型産業とは、わかりやすく言えば、投資によって製造原価を下げられる産業のことです。この場合、多額の広告費をかけて大量の製品を販売しないと、投資を回収できなくなります。よって、資本集約産業については、多額の広告費をかけることに、経済的合理性があると言えます。

 

一方、労働集約型産業とは、人間による労働力による業務の割合が大きい産業のことを言います。

 

例えば、英会話学校のNOVAの場合、「講師は外国人、レッスンは少人数」がキャッチフレーズでしたから、生徒の数に比例して人件費は増えることになり、規模が大きくなったからといって、利益率が変化することはありません。広告費だけが重くのしかかっていくことになります。

 

介護サービスであるコムスンについても、典型的な労働集約型産業で、大きな広告費を出していくことに経済的合理性はありません。

 

一番興味深かったのは、アディーレでしょうか。当社も法律(労働法)を生業にしている事務所であるため、とても参考になりました。法律事務所の場合、面会をして相談をする時間が労働のかなりの割合を占めるため、典型的なローテクビジネスといえます。

 

労働集約型産業の場合、規模の拡大を追求すると、かえってサービス(商品)の質が下がるケースがほとんどです。

 

東京で暮らしていた頃、通っていた近所のパン屋さんが、チェーン展開を始めたとたん、味が落ちてしまい、通うのをやめてしまったことも以前にありました。逆に、ミシュランで星を獲得するようなお店のほとんどは、席数が8席ぐらいしかなく、客層や商品などを絞ってビジネスを展開しています。

 

労働集約型産業の会社がいろんな商品に手を出して売上を拡大したとしても、あまり意味がないような気がします。規模の拡大よりも市場シェアの方がずっと大事ですし、自社の商品が市場でどれぐらいの需要があるか、という見定めも大事になります。

 

経営者にとって、先見力を身につけることはとても重要で、「危ない企業の見抜き方」以外にも役立つことがたくさん書かれていましたので、掛谷准教授の著書をおすすめいたします。

扶養控除の範囲のこと

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年末が近づいてくると、多くなるご相談に、扶養控除の範囲があります。

扶養控除には税制上のものと社会保険上のものがあり、ごちゃ混ぜにして考えている方もときどきいらっしゃいます。

 

12月になると、パートで働いている方の中には、「扶養の範囲でいたいから」という理由で、かなりの日数を欠勤される方もいます。

 

社会保険上の「扶養の範囲」は、月単位で判断される(または直近3か月の給与の平均を12倍して130万円未満であること)ので、会社との雇用契約がどうなっているかが重要となります。その雇用契約(月収)が108,333円以下の内容であれば、「扶養の範囲」と認定される可能性は高くなります。

 

突発的・例外的な事情で会社から残業を命じられたことで月収が108,333円を超えてしまったとしても、必ずしも扶養から外さないといけないわけではありません。ただし、いくら雇用契約書が月収108,333円以下の内容になっていたとしても、実態として毎月108,333円を超える労働している場合は実態の方で判断されることになります。

 

税制上の扶養は非課税分の通勤手当を年収に含めませんが、社会保険上の扶養は通勤手当は収入に含まれますので、この辺りも間違えやすいところとなっています。

 

また、社会保険上の扶養は収入要件だけではなく、所定労働時間の要件もクリアする必要があり、会社が501人以上の場合は、扶養の範囲の要件がさらに変わってきます。

 

労働者の家庭環境等を配慮してあげるためにも、扶養の範囲の要件についてはしっかりとおさえておきたいところです。

慰労金は賞与に入るのか

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会社が労働者に支払うものとして、賃金や賞与、退職金その他、様々な名称のものがあります。では、3年以上在籍した技能実習生などに支払う慰労金は、社会保険上のどれに該当するのでしょうか。

 

慰労金が労働の対価ではなく、恩恵的なもので、勤続功労金のような性質の場合、労働保険上の賃金または賞与にあたりません。したがって、雇用保険料は引かなくてもよいことになります。また、労災保険料もかかりません。

 

厚生年金保険・健康保険上についても、労働の対価ではなく永年勤続に準ずる一時金であれば、賞与には該当しません。したがって、この場合の慰労金には、厚生年金保険料や健康保険料がかからないことになります。ただし、名称が何であれ、毎年払うようなものは賞与に該当します。

 

ご参考まで。

出産や育児に関する給付金の注意点

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一定の要件を満たすと、雇用保険や健康保険からさまざまな給付金が労働者に対して支給されますが、出産や育児に関する給付金について、今回は述べてみたいと思います。

 

育児休業給付は、育児休業終了後の職場復帰を前提とした給付金のため、最初から退職を予定している場合は、育児休業給付の支給対象となりません。

 

受給要件として、育児休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月以上あることが必要です。この場合、育児休業開始日の前日から1か月ごとに区切った期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日ある月を1か月とカウントします。

 

一方、出産手当金は、出産日以前42日から出産日の翌日以降56日までの期間で会社を休んだ期間が対象です。育児休業給付と違って、2年間に被保険者期間が12か月以上といった要件はなく、

 

①健康保険の被保険者であること

②妊娠4か月以上の出産であること

③出産のため仕事を休み、給与の支払いがないか支払額が出産手当金より少ないこと

 

の三つを満たせば、支給の対象となります。

 

では、出産や育児の途中で、関連会社などに転籍出向するケースの場合はどうなるでしょうか。

 

育児休業給付については、一日の空白期間もなく、関連会社などに転籍出向する場合、上記の受給要件を満たしているのであれば、支給の対象となります。

 

出産手当金については、被保険者期間の要件はないわけですから、上記の要件を満たしていれば、転籍出向しても支給の対象となります。

 

ちなみに、育児休業給付は、一定の要件を満たすと、2歳まで延長が可能となります。最近は、1歳6か月や2歳までの延長が少しずつ増えてきているので、これについても注意をしておきたいところです。

海外展開のご相談で思ったこと

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先日、ある食品メーカーの社長さんから海外展開に関するご相談がありました。

東アジアへの展開を検討されているようで、米中貿易問題や韓国の経済状況などが話題になりました。

 

ニュースで米中貿易問題や「韓国がレッドチーム入りするかも」みたいなことがさかんに言われているので、今後の情勢のことが気になっているようでした。

 

レッドチームについては、筑波大学の掛谷英紀准教授が優れたコラムを書いていて、とても勉強になります。

 

掛谷英紀准教授のコラム

 

日本の政界や学界、マスコミにはマルクス主義を信じている人がたくさんいて、政策にも相当な影響を与えているような気がします。

今年の東大入学式祝辞のスピーチで話題になった上野千鶴子氏も有名なマルクス主義者なのですが、気づかなかった人も結構いたかもしれません。

 

コラムの中にある「構成員の3つの分類」を読むと、カルトみたいでとても不気味なのですが、それだけカルトと同質性が高いということではないでしょうか。

 

海外進出は、商習慣や言語、文化の違いについて理解しておくことが不可欠ですが、親日な国なのかそうでないのかについても重要なポイントになりそうです。

 

ある程度、日本で成功を収めてから、海外展開を考えても遅くはないと言えるでしょう。